キャッシュカードを騙し取られたのに犯罪者扱い?

掲載日:2019年12月3日|最終更新日:2019年12月3日

詐欺についての質問です

SNSで融資を受けられると聞いてキャッシュカードを郵送した後、連絡がつかなくなりました。

このことを警察に相談したら容疑者扱いをされたのですが、私は被害者じゃないのでしょうか。

 

 

弁護士の回答

カードを騙し取られる被害について

Twitter等のSNSで検索をすると、簡単に融資ができるかのような記載がされている投稿や広告が見つかることがあります。

そのような広告を見て電話やLINEで連絡をすると、融資の条件としてキャッシュカードを郵送してもらうと言われます。

このような話のほとんどは詐欺か闇金です。

連絡が取れなくなって初めて、騙されたことに気付き、警察に駆け込んだ場合、あなたは犯罪収益移転防止法という法律に違反している疑いをかけられてしまいます。

当事務所においても、このような相談の例があります。

 

 

犯罪収益移転防止法とは

犯罪収益移転防止法28条1項
「他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十六号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第二条第二項第一号から第三十七号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。」

2項
「相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。」

犯罪収益移転防止法とは、組織的な犯罪によって得られた利益をマネーロンダリングやテロ行為に資金供与することを防止するために定められている法律です。

簡潔にいうと、詐欺師や闇金業者に騙されて、キャッシュカード等を有償で交付してしまうと、犯罪収益移転防止法28条2項の罪(1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれの併科)に該当する可能性があるということです。

以下では、順に犯罪が成立する条件について検討していきます。

 

犯罪が成立する条件とは

まず、「有償」とは、対価性があるということを意味しますので、対価の交付が約束されていれば、実際には対価が交付されなかったケースであっても「有償」であると判断されます。

そのため、融資をするが、キャッシュカードの郵送が必要だと言われて交付を行なった場合には、実際には融資がされなかったとしても「有償」の要件を満たします。

次に、キャッシュカードを他人に交付すること自体が一般的に禁止されているため、融資の返済または担保のためにキャッシュカードを交付することは「通常の商取引又は金融取引」ではありません。

そのため、Twitter等の広告から電話を介して融資を受けるようなケースは、「通常の商取引又は金融取引」ではないと判断されるでしょう。

また、SNSを通じた融資のやり取りに「その他の正当な理由」があるかどうかですが、裁判例においては、電子メールでのやり取りのみで、電話の相手方が本名かどうかやどこの組織かも分からず、契約書もなく、送付先も疑わしいものであったという事実から、キャッシュカードを悪用しないと信頼できる状況にはないと判断しています。

犯罪そして、不正利用の防止手段もなく、不正利用の可能性が高い事案であることから、正当な理由はないと判断しています(東京高等裁判所平成26年6月20日)。

故意については、相手方が詐欺師や闇金業者であることを知らずとも正当な理由がないことを基礎付ける事実等を認識していれば足りるとされていますので、どのような事実を認識していたかが重要になります。

以上のことから、キャッシュカードを騙し取られた場合には、犯罪収益移転防止法28条2項の罪が成立する可能性が高いといえます。

 

犯罪に利用されてしまった場合

詐欺交付したキャッシュカードが犯罪に利用された場合、キャッシュカードに対応する口座だけでなく他の口座まで凍結されたり、新規の口座開設が困難になったりという事態も起こり得ますので、私生活に与える影響も大きいです。

個別の事情によってはここで挙げた裁判例とは判断が異なる可能性もありますが、やはり少しでも怪しいと感じたらキャッシュカードを交付することは控えるべきでしょう。

 

 

困ったら弁護士に相談を

キャッシュカードを騙し取られた場合、気が動転して冷静な判断ができないことも多いと思います。

そのような状況で警察の取り調べを受けると、本当は認識していなかった事実まで認識していたかのような供述調書となってしまう可能性もあります。

まずは弁護士に相談することで、犯罪が成立する見通しが高い事例では自首をすることで刑の軽減を狙うことも考えられますし、警察から取り調べを受ける際にどのような対応をすれば良いかのアドバイスも受けることができます。

身に覚えがある方は、決して自分で判断することなく、弁護士に相談しましょう。

 

 


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