強盗で怪我をさせても強盗致傷罪にならないことがある!

掲載日:2019年10月15日|最終更新日:2019年10月15日

強盗致傷罪とは?

逮捕強盗致傷罪とは、強盗の犯人が、強盗の機会に人を負傷させた場合に成立します(刑法240条)。

 

法定刑は、無期又は6年以上の懲役とされており、極めて重い犯罪です。

強盗の犯人が、誰かを怪我させてしまった場合、強盗致傷罪が成立するのか、強盗罪と傷害罪の二つの罪が成立するのかはどのように区別されるのでしょうか。

判例においては、強盗致傷罪が成立するために必要な負傷は、強盗の手段とされている暴行脅迫から生じたものである必要はなく、「強盗の機会」に行われた行為の結果生じていれば足りると考えられています(最高裁昭和24年5月28日判決)。

なぜ強盗の手段から生じた怪我だけに限定されていないかというと、強盗の機会には強盗の手段として用いられる暴行や脅迫だけに限らずそもそも人の殺傷の結果を伴うことが多く、被害者の生命や身体を特に保護するために強盗致傷罪について重い刑罰を定めた趣旨からすると、負傷が生じた原因を強盗の手段だけに限定するべきではないと考えられるからです。

そうすると、強盗致傷罪として処罰されるか、強盗罪・傷害罪として処罰されるかの分かれ目は「強盗の機会」に行われた行為によって怪我を負わせたかどうかということになります。

 

「強盗の機会」とは?

逮捕強盗の機会」とはいっても、いつどのような行為をすれば該当するのかは分かりにくいと思います。

それでは、「強盗の機会」かどうかは、実際の事件でどのように判断されているのでしょうか。

判例においては、「強盗の機会」に行われた行為かどうかは、①強盗を行なったときの行為と負傷結果を生じさせた行為との時間的・場所的近接性や、②犯行意図の継続性等を総合的に考慮した上で判断されると考えられており、怪我を負わせた行為が新たな決意に基づいた別の機会によるものである場合には、「強盗の機会」を認めていません(最判昭和23年3月9日)。

 

 

事例を交えて

より分かりやすくするために、事例を交えて説明をすることにします。

次のような事例では、「強盗の機会」に行われた行為であると判断されることになります。

 

事例
AはBの家に強盗に入り、現金等を奪い去って逃げようとしたところで、Bが追いかけてきたため、このままでは逮捕されるかもしれないという危険を感じました。
そこで、AはBの家の玄関付近で、Bに暴行を加えて怪我をさせて逃亡しました。


この事例では、金品を奪い去った直後に、現場において暴行が行われています。
逃走の際に追跡を妨害するような行為は、強盗が行われる際に一般的に起こりうる行為ですから、犯人の犯行意図は継続していたものと考えるのが自然です。
そのため、家主Bに対する暴行は「強盗の機会」に行われたものであると評価され、犯人Aには強盗致傷罪が成立することになります。

他方、次のような事例ではどうでしょうか。

事例
AとBは、Cから金品を強奪して逃走も完了しました。
その半日後に、事件現場から遠く離れた場所で取得した金品の分配をしようとしていたところを警察官に見つかってしまったため、AとBは警察官に暴行を加えて怪我をさせて逃亡を成功させました。


同じ逮捕を免れて逃走するための暴行にもかかわらず、この事例では「強盗の機会」には当たらないと考えられます。
その理由は、怪我をさせた暴行と当初の強盗とは、時間的にも場所的にも全く近接しておらおらず、逃走が一度は完了していることから、当初の強盗の意図は一度途切れていると考えるのが自然だからです。
そのため、この事例では強盗罪と傷害罪、公務執行妨害罪が成立することになります。

強盗の犯人が人を怪我させた場合、このように罪名が異なることがあります。

強盗罪は裁判員裁判の対象ではありませんが、強盗致傷罪は裁判員裁判の対象となり、どちらの罪名として扱われるかによって、法定刑の違いだけではない大きな違いがあります。

強盗で捕まったという場合には、罪名を争う余地があるかどうかの検討を含め、しっかりとした弁護方針を確立することが大事になりますので、弁護士に相談するようにしましょう。

 

 

 

 


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