ひったくりは強盗罪になる?【弁護士が解説】

掲載日:2019年7月1日|最終更新日:2019年7月1日

ひったくりをしてしまいました。

私にはどのような刑罰が科されるのでしょうか?

 

 

弁護士の回答

ひったくりが、窃盗罪や暴行罪ではなく、強盗罪となるかどうかは個々の事例によって異なります。

以下で詳細を解説します。

 

ひったくりに成立しうる犯罪は?

ひったくりとは、一般的に被害者の不意をついて鞄や財布等を奪い去る行為のことを指します。

ひったくりは被害者が身につけている物を盗むわけですから、ほとんどの場合で被害者に対して何らかの暴行を加えてしまいます。

そのため、ひったくりに成立しうる犯罪としては、窃盗罪(刑法230条)や暴行罪(刑法208条)、強盗罪(刑法240条)が考えられます。

逮捕窃盗罪は、他人の占有する財物を、不法領得の意思(権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法にしたがってこれを利用し処分する意思)をもって、窃取した場合に成立します。

また、暴行罪は、人の身体に対する不法な有形力の行使があったときに成立します。

ひったくりの場合、通行人が持っているカバン等の財物を、通行人を排除して自分の所有物と同様に利用・処分するために、通行人の意思に反して奪い去ることになりますから、窃盗罪が成立する条件は揃っています。

また、カバン等の財物を強引に奪い取る際に、無理やり引っ張ったり、怯ませるための暴行があったりする場合には、不法な有形力の行使がされたと評価できるので、暴行罪が成立するでしょう。

窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法235条)、暴行罪の法定刑は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金または交流若しくは科料(刑法208条)とされている一方、強盗罪の法定刑は5年以上の懲役刑(刑法236条1項)とされており、強盗罪が極めて重い犯罪類型であることが分かります。

また、強盗罪と評価される事例で被害者がひったくりによって怪我をしていると、さらに重い罪である強盗致傷罪となり、法定刑は無期または6年以上の懲役となります(刑法240条)。

 

 

ひったくりは強盗罪になる場合もあります

ひったくりが、窃盗罪や暴行罪ではなく、強盗罪となるかどうかは個々の事例によって異なります。

強盗罪は、暴行脅迫を財物奪取の直接的な手段として用いて他人の財物を強取した場合に成立しますが、強盗罪における「暴行」とは、「反抗を抑圧するに足りる程度の暴行」と定義されます。

この定義により、強盗罪が成立するためには、暴行罪のように不法な有形力の行使があったというだけでなく、相当強度の暴行が求められているといえます。

それでは、ひったくりにおいて被害者に加えられる暴行は、「反抗を抑圧するに足りる程度」といえるのでしょうか。

ひったくりの多くは、暴行があったとしても、そもそも財物奪取の直接的な手段として用いられていない場合があり、そのような場合には強盗罪は成立しません。

暴行暴行が財物奪取の直接的な手段として用いられているような場合には、以下のような点を考慮して、「反抗を抑圧するに足りる程度の暴行」といえるかを判断します。

  • ①被害者の生命・身体に及ぼす危険性の程度
  • ②暴行の執拗性
  • ③被害者が反抗的行動に出ているか
  • ④被害者が救助を求めることができる状況であったか

その中でも最も重要なのは①の要素です。

ここで、ひったくりが強盗罪に当たると判断された判例を紹介します。

判例 ひったくりが強盗罪に当たると判断された裁判例

「窃盗の意思で夜間人通りのない場所を通行中の女性に自動車で接近し、そのハンドバッグをひったくろうとしたが、被害者が奪われまいとして離さなかったため、バッグの下げひもをつかんだまま自動車を進行させ、被害者をバッグもろとも引きずって転倒させたり、道路脇の電柱に衝突させたりして、結局バッグを奪取した場合、その過程において強盗の犯意を生じたものであり、その行為も相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行と言えるから、強盗罪が成立する。」

【最高裁判所昭和45年12月22日付判決】

この事例では、自動車から被害者を引きずって転倒させたり電柱に衝突させたりといった、被害者の身体・生命に重大な危険をもたらす可能性がある暴行が執拗に行われています(①、②)。

このような相当強度の暴行が行われていることに加え、夜間で人通りのない場所という被害者が救助を求めることができない状況であった(④)ことから「反抗を抑圧するに足りる暴行」があったと認定されたと考えられます。

他方、住宅街で後ろから走って近寄り、被害者を転倒させた隙にバッグを持ち去ったというような事例であれば、暴行の態様として、被害者の生命・身体に対して及ぼす危険性の程度としては比較的軽微と考えられます。

また、住宅街であれば夜間でも救助を求めることは可能であり、このような場合には、強盗罪で求められる「反抗を抑圧するに足りる程度の暴行」とは評価されないのではないかと思われます。

 

 

ひったくりでお悩みの方は弁護士に相談を

ひったくりは窃盗罪の中でも悪質な部類とされていますが、強盗罪や強盗致傷罪と評価された場合、その後の見通しが大きく異なってきます。

強盗罪についての弁護方針はこちらからどうぞ。

弁護士早期に客観的な状況を把握し、どの罪名となるのかを検討した上で弁護活動を行なっていくことで、より良い結果につながる可能性を上げることが出来ます。

ご自身、もしくは大切な人がひったくりをしてしまったことでお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

 

 


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