人身事故、死亡事故について

掲載日:2017年1月17日|最終更新日:2020年2月12日

過失運転致死傷罪とは

交通事故のイメージイラスト平成25年11月に、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が成立し、平成26年5月20日から施行されています。

同法5条本文に、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。」とあります。これが過失運転致死傷罪と呼ばれるものです。

過失運転致死傷罪の要件としては、①自動車の運転上必要な注意を怠った過失と、②人に死傷結果を生じさせたことが構成要件として挙げられます。

そのため、仮に事故を起こしてしまい、相手に怪我をさせてしまったとしても、運転者が運転上必要な注意を怠ったと評価できなければ、過失運転致死傷罪は成立しないということになります。

例えば、交通事故では、バイクの運転者や歩行者が死傷するケースが多いですが、事故の相手方が急に飛び出してきたため、どれだけ前方を注視していても事故を防ぐことが出来なかったと考えられるケースでは、運転者に過失はないと評価されるでしょう。

 

 

危険運転致死傷罪とは

ひき逃げなどのイメージ画像

既に述べたとおり、自動車を運転する上で必要な注意を怠った場合には過失運転致死傷罪が成立します。

しかしながら、過失運転の中でも特に危険性の高い行為によって人を死傷させた場合には、過失運転致死傷罪よりも重い法定刑が定められている危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法第2条各号)が成立します。

危険運転致死傷罪が成立するのは、アルコールや薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させた場合だけでなく、前方の車両との車間距離を極端に詰めたり無理な割り込みを繰り返したり等、俗に言うあおり運転を行なった場合など多岐に渡ります。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

以下では、危険運転致死傷罪の事例でよく問題となるものを、裁判例を交えて解説します。

1号の「正常な運転が困難な状態」とは、「正常な運転ができない可能性がある状態」では足りず、前方の注視が困難になったり、意図したとおりの時期や加減でハンドル及びブレーキ等を操作することが困難になったりするなど、現実に道路及び交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態にあることをいいます(最高裁第三小法廷平成23年10月31日)。

4号の「通行を妨害する目的」とは、人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図する場合のほか、危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに、人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら、あえて危険接近行為を行う場合も含みます(大阪高等裁判所平成28年12月13日)。

通行を妨害する目的があったかどうかは、単純に車間距離だけで決められるものではありません。

車両の速度や、車間距離を詰めるための接近をした際の具体的な状況等から総合的に考えて判断されます。

そのため、車間距離がある程度離れていても、「通行を妨害する目的」があったと認定される可能性は0ではないということです。

5号の「赤信号を殊更に無視し」とは、およそ赤色信号に従う意思のないものをいい、赤色信号であることの確定的な認識がない場合であっても、信号の規制自体に従うつもりがないため、その表示を胃に解することなく、たとえ赤色信号であったとしてもこれを無視する意思で進行する行為も含むと考えられています(最高裁第一小法廷平成20年10月16日)。

このような判断がされていますので、「そもそも信号に従うつもりがなく、赤信号だと認識すらしていなかった」という弁解は通用しないということになります。

 

 

弁護方針

過失運転致死傷、危険運転致死傷を認める場合

解説する弁護士のイメージイラスト人身事故、死亡事故の原因が自らの過失にあることを認める場合、実刑判決を避けるために、被害者と早期に示談をすることが重要です。

交通事故の場合、基本的には加害者の加入する保険会社が示談交渉を代行することになっていますが、保険会社の示談交渉に任せきりにしていたのでは、十分な反省の意を裁判官や検察官に示せません。

保険会社とは別途、被害弁償金を支払うなどの弁護活動が必要となってきます。

示談を成立させるためには、弁護士が迅速かつ丁寧に、そして根気強く示談交渉に臨む必要があります。

弁護士の技量と熱意によって、大きく示談交渉は影響を受けますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。

交通事故のイメージ画像また、危険運転致死傷罪の成立は争い、過失運転致死傷罪の限度で成立を認める場合があります。

過失があることは認めるが、危険運転という評価については争うということです。

法定刑が、危険運転致死傷罪であれば最長20年(負傷にとどまる場合は15年)、過失運転致死傷罪であれば最長7年の懲役または禁錮と、大きな差があり、執行猶予を得られるかどうかの大きな分水嶺にもなりますから、主張すべきところは主張することが重要となります。

この場合、有利な証拠を豊富に収集することが重要となります。

証拠の収集は、弁護士の技量と熱意によって大きく影響を受けますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。

 

過失運転致死傷、危険運転致死傷を認めない場合

道路のイメージ画像過失がなければ、過失運転致死傷罪も、危険運転致死傷罪も成立しません。

交通事故がやむにやまれず発生したものである場合、被害者の過失によって発生したものである場合などは、無罪を主張していくことになります。

無罪を主張していく場合、無過失を基礎付ける証拠を豊富に収集し、検察官や裁判官にそれらを提出する必要があります。

目撃者を探し出し、事故時の状況の聴き取り調査を行ったり、交通事故時の状況を再現し、交通事故を防ぐことが不可能に近かったことを示したりします。

無罪のイメージイラスト弁護士の技量と熱意によって、証拠の収集は大きく影響を受けますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。

まずは当事務所にお気軽にご相談ください。

 

 


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