独占禁止法違反(不当な取引制限の罪、カルテル)について


独占禁止法とは何か

独占禁止法の正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。

独占禁止法第1条によりますと、
「この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする」
ものです。

六法全書独占禁止法には、私的独占禁止の罪(同法89条1項1号前段)、不当な取引制限の罪(同号後段)、事業者団体による競争の実質的制限の罪(同条2項)、確定排除措置命令違反の罪(90条3号)などの罰則規定が存在していますが、「不当な取引制限の罪」が、適用されている罰則の大部分を占めており、最も重要です。

 

 

不当な取引制限の罪とは何か

独占禁止法第89条1項1号後段は以下のように規定しています。

「次の各号のいずれかに該当するものは、5年以下の懲役又は 500万円以下の罰金に処する。
1. 第3条の規定に違反して・・・不当な取引制限をした者」

では、「不当な取引制限」とはどのような行為をさすのでしょうか。

独占禁止法第2条6項を見てみます。

「この法律において『不当な取引制限』とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」

上記条文から、不当な取引制限の罪に当たる要件として、①事業者であること、②他の事業者と共同したこと、③相互にその事業活動を拘束したこと(または遂行したこと)、④公共の利益に反したこと、⑤一定の取引分野における競争を実質的に制限したこと、が挙げられます。

パソコンとスマートフォンさらに、独占禁止法第96条1項が、
「第89条・・・の罪は、公正取引委員会の告発を待って、これを論ずる。」
とありますから、⑥公正取引委員会の告発も要件となります。

不当な取引制限の代表は、カルテルです。

例えば、同一携帯電話機の販売を取り扱う同種企業である複数会社が、結託して、同商品の価格をそれぞれ 10万円に設定したような場合に、不当な取引制限となります。

 

 

弁護方針

弁護士牟田口裕史不当な取引制限の罪を認める場合、その違法な行為をやめた上で、可能な限り早期に、公正取引委員会に自らの違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を単独で行うこと、を薦めています。

不当な取引制限をした場合、独占禁止法第7条の2第1項によって、課徴金納付命令が出されることになるのが原則なのですが、上記の対応を取ることによって、場合によっては、課徴金の納付義務が免除されるのです。

すなわち、独占禁止法第第7条の2第10項に以下のように規定されています。

「公正取引委員会は、第1項の規定により課徴金を納付すべき事業者が次の各号のいずれにも該当する場合には、同項の規定にかかわらず、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じないものとする。

  1. 公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、当該違反行為をした事業者のうち最初に公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行った者(当該報告及び資料の提出が当該違反行為に係る事件についての調査開始日以降に行われた場合を除く。)であること。
  2. 当該違反行為に係る事件についての調査開始日以降において、当該違反行為をしていた者でないこと。」

また、刑事罰との関係でも、上記対応を取ることは大きな意味があります。

すなわち、先述のとおり、不当な取引制限の罪の成立要件の一つに、「公正取引委員会の告発」があるのですが、事実の報告・資料の提出という対応をとった場合、公正取引委員会は告発を行わないという運用をとっているのです。

会社を守るためにも、経営者ご自身の生活を守るためにも、公正取引委員会への報告・協力はとても重要なのです。

また、公正取引委員会の調査開始後であっても、上記対応を取る必要があります。

逮捕告発を回避できる可能性がありますし、刑罰も軽くなることでしょう。

専門的かつ複雑な問題であり、費やすことになる時間も膨大なものです。

経営者自ら公正取引委員会とのやり取りを行うことは、困難ですし会社にとって悪影響ですから、企業法務、刑事事件に注力する弁護士を窓口とすることが望ましいといえるでしょう。

当事務所には、企業法務チーム・刑事事件チームがあります。チーム間で連携を取って対応にあたることが可能です。まずはお気軽にご連絡ください。

 

 

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