国選弁護人と私選弁護人との違い


国選弁護人制度とは何か

国選弁護人制度とは、刑事事件において、資力が乏しく私選弁護人を選任できない被疑者・被告人のために、国(裁判所、裁判官)が弁護士を選任し、その費用も国が原則負担するという制度のことです。

日本国憲法第37条3項に、
「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。」
という規定があります。これを受けて刑事訴訟法が、国選弁護人制度を規定しています。

国選と私選の違いイラスト国選弁護制度は、憲法が、「刑事被告人は、」と規定していることもあり、設計当初は、起訴された被告人のみを対象とした制度でした(一般に、犯罪の嫌疑をかけられている者のことを、起訴される前は「被疑者」、起訴された後は「被告人」と呼びます)。

ですが、起訴前から弁護人を附する重要性が唱えられ、刑事訴訟法改正により被疑者国選弁護制度(刑事訴訟法第37条の2)が導入されました。

被疑者国選弁護制度の導入当初は、「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件」に限定して、起訴される前の段階から、国選弁護人が付されていました。

しかしながら、平成30年6月の更なる刑事訴訟法改正により、勾留状が発せられている全ての事件について、国選制度の利用が認められるようになりました。

貧困等により弁護人を選任することができない刑事被疑者の権利を保護するために、重要で意義のある法改正です。

現在(平成30年6月法改正後)の刑事訴訟法第37条の2は、以下の通りです。

「被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のために弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。」

 

 

国選弁護人制度を利用することのメリット・デメリット

デイライト法律事務所画像国選弁護人制度を利用するメリットは、やはり、原則として弁護士費用を支払わずに済むという点にあります。

国選弁護人制度は、貧困状態にある被疑者・被告人を保護するための制度ですから、弁護士費用の負担を国が代わってしてくれるのです。

なお、国選弁護人制度の趣旨に基づき、被疑者・被告人は国選弁護人をつけてもらうために資力申告書を提出しなければならず、現金や預金に代表される資産の合計額が50万円未満でなければなりません。

50万円以上の資産がある場合は、あらかじめ弁護士会に弁護人選任を申し出ていた場合を除き、国選弁護人は選任されません。

この場合は、私選弁護人の選任を検討することになります。

国選弁護人制度を利用するデメリットとしては、①逮捕段階では国選弁護人をつけられないこと、②国選弁護人の熱意・技能に大きな差異がありながら、弁護士を選ぶこと・変えることができないことが挙げられます。

 

国選弁護人制度を利用するデメリット

①逮捕段階では国選弁護人をつけることができません

解説する弁護士のイメージイラスト平成30年6月現在、被疑者が勾留されている事件については勾留段階になって初めて、勾留されていない事件については起訴後になって初めて、国選弁護人が選任されることになっています。すなわち、勾留される前の段階(任意に取調べを受けている段階や、逮捕段階、逮捕後に勾留されず釈放された段階)では、国選弁護人は選任されません。

犯罪が発覚した場合、警察官は捜査を開始し、必要があれば被疑者を逮捕し、身体を拘束します。逮捕は最大72時間、すなわち3日間続きます。警察官はこの3日間で、被疑者から自白等を取るべく取調べを入念に行います。また、警察官は逮捕をあえて遅らせ、任意取調べの形で被疑者から自白を取ろうとすることもあります。

現行法制度では、これらの段階で、国選弁護人をつけることはできません。

逮捕は、長くとも3日間ですので、会社などのコミュニティに逮捕された事実が知れ渡ったり、会社を解雇されたりするリスクは高くありません。ですが、弁護士のアドバイスを受けることができずに、逮捕中の取調べで対応を誤ってしまうと、本来認められるべきでない勾留(逮捕に引き続く身体拘束)が認められてしまうおそれがあります。勾留は最大で20日間にも及びますから、解雇等のリスクが大幅に増加してしまいます。さらに言うと、逮捕段階での自白が決め手となって起訴され、有罪判決を受け前科をつけられてしまうおそれもあるのです。

以上のこともあり、刑事事件では、初動が最も重要であるといわれています。初動段階から弁護士による適切なサポートを受けてこそ、不当な身体拘束や、不当な判決から免れる道が見えてくるのです。

取り調べのイメージイラスト私選であれば、勾留される前の段階(任意に取調べを受けている段階や、逮捕段階)であっても、自由に弁護士を選任することができます。私選弁護人は、被疑者から依頼を受ければ迅速に弁護活動を開始します。被疑者のもとへ即座に接見に行き、取調べへの対応についてアドバイスをすると同時に、不当な取調べがある場合には被疑者に代わって警察官に強く抗議します。また、被疑者にとって有利な証拠を収集すべく、動き出すことになります。被害者がいる事件で、示談が成立すれば勾留されずに釈放されることが見込める場合には、示談交渉にも可能な限り早く乗り出します。そして検察官に対して、勾留請求をすべきではなく釈放すべきであることを説得的に論じることになります。

 

②国選弁護人の熱意・技能には大きな差異がありますが、国選弁護制度を利用する場合、弁護士を自由に選び、変えることができません

弁護士のイメージイラスト国選弁護人制度の下では、被疑者・被告人は、弁護士を自由に選ぶことができませんし、途中で変えることもできません。国選弁護人は、国選弁護人として登録された名簿から機械的に割り振られる制度となっているのです。そして一度国選弁護人が決定すると、よほどのことがない限り、変更はされません。

早期の身体釈放や、不起訴処分、無罪判決を獲得するためには、被疑者・被告人と弁護士の強い信頼関係が不可欠です。にもかかわらず、自由に自分に合う弁護士を探すことができず、機械的に弁護士が割り振られるというのは、国選弁護人制度を利用する大きなデメリットといえるでしょう。

そして、国選弁護人名簿の中の弁護士には、刑事弁護に熱心ではない弁護士もいますし、他の弁護士業務で忙しく、こまめに接見に行くこともできない、示談交渉や証拠収集に動いてくれない弁護士もたくさんいます。そして、刑事弁護の経験がほとんどないといった弁護士もたくさんいるわけです。

刑事事件において、誰が弁護士となるのかということは、今後の人生を大きく左右するものです。上記のような、望ましくない弁護士が選任されてしまった場合には、被疑者・被告人の不利益は大きいといえます。そして、その弁護士を自由に変更することもできないわけですから、国選弁護制度を利用するということは、運に身を委ねるという一面があることを理解しておく必要があります。

 

 

 

私選弁護人のメリット

私選弁護人とは、被疑者・被告人から直接、特定の刑事事件の弁護人として選任された弁護士のことをいいます。私選弁護人を選任する場合、ご自身で弁護士を見つけて、その弁護士と自由に契約を締結できることになります。費用を国が持ってくれませんから、経済的負担がかかるという点が、デメリットとして挙げられます。

ですが、メリットとして、①自分に合う弁護士を自ら探すことができること②早期段階から弁護士のサポート・助言を受けることができること③いつでも弁護士を解任し変更することができること④刑事事件に注力している弁護士を選べば、早期釈放、不起訴処分、無罪判決、執行猶予等の獲得可能性が高まることを挙げることができます。

 

①自分に合う弁護士を探すことができます

弁護士には、20代の弁護士もいれば、70代、80代の弁護士までいます。気さくで話しやすい雰囲気の弁護士もいれば、厳格な雰囲気の弁護士もいます。被疑者・被告人一人ひとり、何を弁護士に求めるのか、どのような弁護士が理想なのかは異なるはずです。私選で弁護士を選ぶのであれば、直接弁護士に会って、その弁護士に依頼するかどうかを自ら決めることができます。

早期釈放、不起訴処分、無罪判決、執行猶予等を獲得するためには、被疑者と弁護人が信頼し合い、両者が目標達成に向けて全力を尽くすことが必要です。「自分で選んだ弁護士がいる」という意識を持てることは、被疑者が逮捕・勾留などされて精神的に追い込まれている状況ではとても重要になってくるのです。

弁護士のイメージイラストまた、本来はあってはならないことではあるのですが、国選弁護は弁護士に支払われる報酬が低額であることもあり、国選弁護人の中には、被疑者・被告人にこまめに連絡をとらない弁護士、示談交渉に消極的な弁護士、接見に形式的にしか行かない弁護士がいることも事実です。私選弁護であれば、そのような弁護士はほぼいないといえるでしょう。仮にそのような弁護士を私選で選任してしまったとしたら、即座に解任し、他の弁護士を選任することをお勧めします。

自分で選任した弁護士なのですから、気楽に、いつでも現状報告を求め、接見に来ることを求め、弁護方針についての意見共有を求めることができるでしょう。これは私選弁護の大きなメリットであるということができます。

 

②早期段階から弁護士のサポート・助言を受けることができます

取り調べなどのイメージイラスト前述のとおり、刑事事件においては、初動がとても重要であるといわれています。逮捕前の任意取調べの段階や、逮捕段階の供述調書が被疑者・被告人に不利に働き、結論を決してしまうというケースも間々あります。この点、私選であれば、いつでも弁護士を選任できますから、不当な取調べに対しては抗議できますし、取調べでの対応について適切な助言を受けることができます。

 

③いつでも弁護士を解任し変更することができます

国選弁護人制度は、いったん機械的に弁護士を割り振られると、その弁護士が最後まで弁護士として就き続けることになりますが、私選弁護人の場合は、いつでも解任し、新たな弁護士を選任することができます。早期釈放、不起訴処分、無罪判決、執行猶予付き判決獲得のためには、被疑者・被告人と弁護士の信頼関係が不可欠です。私選弁護人を選任することは、それ自体が両者の信頼関係構築に一役買うものであり、大きなメリットといえるでしょう。

弁護士のイメージイラストなお、国選弁護人が割り振られた後であっても、私選弁護人を選任することはできます。この場合、自動的に国選弁護人は解任されたものとして取り扱われます。

国選弁護人の弁護活動に不安・不満がある場合には、私選弁護人の選任を検討してみることをお勧めします。逮捕・交流による身体拘束中であれば、接見に来た親族に、私選弁護人を探したい旨伝えて、親族に弁護士を探してもらうと良いでしょう。

 

④刑事事件に注力している弁護士を選べば、早期釈放、不起訴処分、無罪判決、執行猶予等の獲得可能性が高まること

無罪のイメージイラスト弁護士の多くは、民事事件を中心業務としており、刑事事件を中心業務としている弁護士は、少ないのが現状です。国選で回ってきた事件についてのみ刑事弁護をする、という弁護士が大半ではないでしょうか。

ですが、刑事弁護活動は、自首同行、接見、取調べ対応のアドバイス、警察官・検察官への抗議、検察官・裁判官への意見書の作成、検察官・裁判官面会、示談交渉、有利な証拠の収集、保釈請求、準抗告、証拠開示請求、尋問、最終弁論など、民事とは異質の内容のものがほとんどであり、刑事事件の経験実績、刑事事件への熱意が非常に重要です。

逮捕されるかどうか不安な状態で生活をしている方、警察官や検察官からの取調べに苦痛を感じている方、配偶者や子が逮捕されてしまって困っている方、国選弁護人の弁護活動に不満があり、刑事事件に注力している弁護士を求めている方は、まずはお気軽に、当事務所へご連絡ください。

 

 

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